1995/10/31 No.18 NEWS LETTER for Photo Lover

東京都写真美術館にのぞむこと  谷 博


 核
 \
半減期

東京都写真美術館 9月21日〜11月10日

松重美人(1913〜 )
深田敏夫(1928〜 )
岸田貢宜(1916〜1988)
菊池俊吉(1916〜1990)
山端庸介(1917〜1966)
林 重男(1918〜 )
松本栄一(1915〜 )
福島菊治郎(1921〜 )
土門 拳(1909〜1990)
石黒健治(1935〜 )
土田ヒロミ(1939〜 )
東松照明(1930〜 )

 50年前原爆投下以降の広島と長崎をテーマにした写真展が、今、東京都写真美術館で開催されている。タイトルは「核―半減期」。
「第1部 1945 広島・長崎」「第2部 戦後史の中のヒロシマ・ナガサキ」の二部構成で、第一部は被爆直後の現地を撮影した松重美人、深田敏夫、岸田貢宜、菊池俊吉、山端庸介、林重男、松本栄一の7人の写真家の生々しい記録である。 第二部は福島菊治郎、土門拳、石黒健治、土田ヒロミ、東松照明による被災者と被災地のその後をそれぞれ独自の視点で見た作品で構成されている。
 原爆被災の映像記録は敗戦後占領軍に没収され、占領下発表を禁止されていたが、1952年講和条約発効とともに解かれた。1952年8月6日発行の「アサヒグラフ―原爆被害初公開号」は初めてその未曾有の惨状を公表、原爆の恐ろしさを世に伝えた。被爆直後の被害地の模様を撮影したこの7人の記録はそのとき以来、写真集やパンフレットなどに発表されてきた。それら写真の中には被災直後焼け跡で現像されたものもあり、ネガの損傷がひどく、今では20年前の変色したプリントが最も保存の良い状態というものもあった。今度の展示に際し、コンピュータ修復の上ディジタル画像として永久保存可能となったものも含まれている。
 第二部は放射能に冒され後遺症に苦しみ死んだ被災者の22年間の闘病生活を追った福島菊治郎や、被爆十年、未だケロイドの手術を受ける患者、胎内で被爆した子供たちの日常を記録した土門拳らの、人間の肉体と精神に印された原爆の傷跡を記録したドキュメント。
 20年後の日常的な風景の中に残る「原爆ヒロシマ」を情景的に対比させた石黒健治や、人、物、風景の中に風化しつつある記憶を捉えようとした土田ヒロミ、そして長崎を原爆投下を起点とした時間の流れの内に見ようとした東松照明ら三人の“風景論”に分かれている。
 半世紀、50年という時間の中で、人類史上未曾有の殺傷破壊兵器が行った顛末を、どの様に写真が記録してきたのか。この間、10、20、30年と、人々の生活の中で原爆の痕跡がどのように変化してきたのか。断片的に報道、発表された原爆についての写真記録、作品は、ずいぶん多くあった。それらは今どこにあるのか。「核―半減期」は、50年の歳月を俯瞰した構成で、選択に苦心の跡が見える。しかしこれまで発表されたものの一部にすぎない。これらの記録、作品を前にして、あらためて原爆について撮られたあらゆる写真を見たい、という衝動に駆られた。「核―半減期」展はこれで終わってもらっては困る。増やし続けて欲しいいのである。のである。この写真展を真に意義あるものとするには、原爆のあらゆる写真記録を蒐集し続けていくことが重要な仕事だ。
 たっぷりとしたスペース、柔らかい照明の下、原爆の写真はそのように訴えていた。


彼自身の光

中谷吉隆写真展――オルゴール色の光   谷 博

1995年10月13日(金)〜10月26日(木)  ペンタックスフォーラム

 中谷吉隆と初めて出会ったのは、1959年、現天皇の妹である清宮貴子さんのご婚礼の前ごろだった。当時成城学園にあったお婿さんの島津久永氏邸の門前、こちらアサヒグラフ記者、彼は毎日グラフカメラマンとして。お互い毎日、早朝からの張り込みだった。こちらの相棒カメラマンは現朝日新聞出版写真部長の杉崎弘之氏であったが、島津邸張り込みが縁で、フリーの中谷クンとそれから随分一緒に仕事をするようになった。東京オリンピック、ビートルズ、北海道と、スポーツから芸能、風俗までこなす彼の機動力はスタッフカメラマンとは違う軽快なスピード感があった。
 その彼から「2年余り前から光の存在が気にかかりとり憑かれ、機会あるごとに面白がって撮影してまいりました。ここに機会を得て作品展を開催できるはこびとなりました。私としましては、新境地の世界への挑戦といささかハリきっているのですが、これまでのわたしのイメージからほど遠く、あいつも歳を取ったか(還暦には間がありますが)の声も届きます。」というあいさつが入った案内が届いた。彼の経営する「プラスワン」には仕事のことで度々邪魔しているが、いつも忙しそうで新境地に挑んでいるなど想像もしなかった。
 夫人の比佐子さんがいつか言っていたことがある。「35ミリでカラーを撮らせたら中谷は最高よ!」、その最たるものが、彼のスポーツ写真ではなかったか。千分の一秒というチャンスにも、計算されたような微妙な色があった。色彩に対する独特なアンテナがあって、あらかじめデータが蓄えられ、それが瞬時に配合される。どうもそのようなメカニズムを持ち合わせているようであった。
 それはスポーツだけでなく、北海道の秋あじ漁、東京オリンピックの渋谷の街など今でも印象に残っている。なぜ35ミリで撮らねばならなかったか、納得させるだけの動感と色の艶っぽさがあった。 
 写真展「オルゴール色の光」について、「わたしのイメージからほど遠く」と本人は言っているけれど、写真を見たとき「彼だけが感じる光を見つけた」と思った。 対象は風景、花、物体と多種類の中で、単調な物体の表面を捉えた、輪郭の発する光が面白かった。
 分野の専門化が進んだので、感材が進歩したとしても35ミリのカラー原稿はプロにとって半端なものとなり、仕事で使う人は限られているだろう。
 35ミリをプロが使い始めたのは一眼レフ登場以来だから、中谷吉隆はその短い時代の申し子でもある。  メカニズムを知りつくし、ピントグラスに光を見つづけた男が見つけた光の世界、それは成熟とかそんなものでなく、ルネッサンだと私は喜んでいる。


伊奈信男賞 賞金100万円に

 第20回伊奈信男賞に江口弘美氏の「植物PartIII」が決定 。正賞、賞品のほか賞金100万円を贈呈される。ニコンサロン運営委員会(委員長:株式会社ニコン常務取締役・尾花脩二)は、1995年度のニコンサロン写真展年度賞(第20回伊奈信男賞)を選出するため、鋭意選考を重ね、このほど同賞を江口弘美氏の「植物PartIII」に贈ることに決定した。
 伊奈信男賞は今年度が第20回記念にあたることから、従来の正賞と賞状およびニコンカメラ製品の賞品のほかに、新たに賞金100万円を設定し、受賞者に贈られる。
 授賞が決定した江口氏の「植物PartIII」は、今年新宿ニコンサロン(5月l6日〜5月29日)で展示され、各方面から好評を得たもの。
 なお、第20回伊奈信男賞受賞作品展が12月5日(火)から12月11日(月)までの期間、銀座ニコンサロンで、また1996年1月18日(木)から1月30日(火)まで大阪ニコンサロンで開催される。

伊奈信男賞受賞者のプロフィール

作者:江口弘美(EGUCHI HIROMI)
写真展名:「植物PartIII」
内容:植物の生態写真であるが、地上にある植物を共存する生き物としてとらえ、植物の存在の意義を追求した写真展である。作者は、九州大学生物環境調節研究センターで,環境植物学を専攻し、植物をいかにうまく人間に利用するかという研究をしてきたが、あるとき、植物を共に地上に生きる生物としてのすばらしさに気づいたという。植物は長い進化の過程を経て、多様な種に分化している。それぞれの形態には、生命体であるという事実を超えて、人に美しいという情感を呼び起こす。もともと植物にはクロロフィル、カロチノイド、フラボノイドなどの色素が含まれていて、複雑な色彩を呈しているのに、カラー写真の感材は人工的な色素で構成されていることを改めて思い知らされるという。
授賞理由:植物学者でもある江口氏が、生物学的に植物の種や植生に詳しいのは当然であろうが、同氏の写真作品には、科学的な観察眼を礎に、自然界の草木の示す豊かな表情と、多様な造形性、天然な世界にだけ存在する華麗な色彩の妙を、きわめて率直かつ端正に表現されている。こうした撮影姿勢の背景に、科学性のみならず、人文的な自然観照の炯眼こそ必要とされていることが、ひしと伝わってくる作品といえる。一景一景が絵造りによって完成されるのではなく、基本的には生物としての植物のドキュメンタリーで、その生の在り方の神々しさを、飾らずに伝えたいとする作風が貫かれている。情報や騒音に溢れた現代に、自然の悦びとそこにまなざしを注ぐ、厳しくもやさしい 作者の姿勢と心情は、まさに貴重である。
授賞式:日時 1995年l2月5日(火) 午後6時〜8時
会 場:銀座ニコンサロン
    東京都中央区銀座3一5−6 松島眼鏡店3階
    TEL 03(3562)5756 FAX 03(3562)5757


写真展

another reality 現代写真の動向 1995.11/21-1996.1/28

会 場  川崎市市民ミュージアム 企画展示室

 20世紀末の現在から21世紀にむけて、写真表現の可能性を問いかけている、近年活躍の著しい作家10人の仕事役20点を一堂に集め、現代写真の可能性を展望する。

 10人の作家

市川美幸、内田京子、五井毅彦、里 博文、杉浦邦恵、瀬戸正人、楢橋朝子、畠山直哉、松江泰治、吉村 朗

入場料 一般700円・学生500円

シンポジウム「現代写真の展望」 (12/3 [日] 13:30-15:30)
出席者 伊藤俊治・平木収

川崎市市民ミュージアム
〒211 川崎市中原区等々力1-2 TEL 044-754-4500
◎交通/JR南武線、東急東横線 武蔵小杉下車、市営バで「市民ミュージアム前」下車


Look at me!

ダイアン・アーバス 1923. 3 〜 1971. 7【18】
愛を求め、世界を吟味し、写真に生きた写真家ダイアン・アーバスの言葉で綴る物語
構成 橋本有希子

◆1958年秋
ニューヨークに帰ってからも、フランク夫婦とは、他のカップルを交えてよく顔を合わせている。男たちは、妻たちが自分と同じくらい、いや、それ以上に才能に恵まれていることに気づいている。そして、彼女たちが普通の女性と違って盛んに仕事をすることに脅威を感じている。しかし、女は夫にとって女中のようなもの。仕方なく妻たちは機嫌をとりながらあれこれと世話を焼き、自分の仕事は後回しにするか、時には中断。隠したり破棄することもある。 いわゆる『男女同権者』ではない女たちが5、6人集まってお茶を飲むと決まって身近な男たちが話題となる。しかし、つまるところは女で、腹の中ではおたがいを信用していない。相も変わらず夫の機嫌をとって関心をつなぎとめようとし、両立させがたい望みからは目をそむけ、傷つけあう争いは避けようとしている。優しさではなく怒りが、どのカップルの間でも意志を通じ合う主要な経路だ。セックスはとても重要。肉体こそが力の源泉。恐らくは唯一の源泉。誰もが相手かまわず衝動的にベッドを共にする。これらの夫婦の結婚生活はほぼ例外なく乱脈をきわめている。薬や酒、あるいはひどい幻滅が理由だ。そんな浮気のために結婚生活が破綻すると思うものはいない。女たちは裏返しにされ、裸になりさらしものとなって押しつぶされ、ばらばらにされ、それでいて生きていることを実感したいと口にする。誰もが、妻であり母であることが自分たちの救いであり、宿命であると信じている。仕事は支えとならない。仕事のことを話すのにためらいを感じ、仕事などそれほど重要ではないと考えている。

私もまた自分の写真について絶えず疑問を抱いている。ストリートフォトグラファーとしてやっていけるだろうか?刺青をした女の写真などだれが欲しがるだろうか?上品な友人の編集者に、女ルンペンの話などしたらどんな顔をされるだろうか?私の夢………世界の偉大な敗北者たちを撮ること。例えば、アドレー・スティーブンソン、ロバート・オッペンハイマー、フルシチョフといった人達………ヒトラーが生きていたら、ぜひ撮りたい………彼こそ史上最大の敗北者。

7 アランの新しい恋

最近のアランはファッション写真の撮影にかかる前にはいつもいらだっている。もともと完全主義者なのに、自分の仕事に興味を失ってしまったとなると、写真に対する感覚も鈍っていると思わずにはいられないのだろう。こちらとしても、たまに撮影に立ち会うことがあっても、批判的になってしまう。アランの写真があまりにも一次元的できれいごとに過ぎると感じるようになってしまったから。アランは夕食の間もずっと不機嫌で、「お先真っ暗だ、何も考えたくもないし、話したくない」と言い、夕食がすむなり自室でクラリネットを吹き始め、何時間も音階の練習をする。エイミーは嫌がって自分の部屋に閉じこもったまま出て来ない。こんな状態にいつまで耐えられるだろう。どこかで歯車が狂ってしまったようだ。

新しく撮ったフィルムをイーストサイドにあるジョン・スチュアートの暗室で現像し、プリントするようになった。これは新たな自立へのささやかな一歩だ。なじみのない他人の部屋を横切り、明かりをつける。見慣れぬ椅子や枕や皿が目に映る。こうして一人暗室にこもり、自分のコンタクト・プリントと取り組む。どれがドラマチックなとらえかたになっているか、どれが見るものの心を揺さぶる表現であり、親しみやすいと同時に意表をつく表現になっているか。

アランはマイラ・ロストワの演技教室に通い始めた。アランは演技することに一層熱中している。彼は自分が他の何よりもショー・ビジネスを愛し、虚構の世界と劇場こそが自分にとって掛け替えのないものだという事実を痛感し、演技者にならなければ、と彼は決心した。

ファッション写真からきっぱり手を引くべきかどうかを巡って、アランと何度も話し合った。結論はいつも同じ、どうやって家族を養っていくのか?(知り合いの俳優のほとんどが失業保険で生活している有り様だ。)もはやアランは金の無い生活には耐えられない。私はほとんど無収入に近い状態だから、手を貸そうにもすべがない。雑誌社に自作を持ち込んでも決まって断られる。サーカスの余興や、頭のおかしい人間の写真に興味を示すアートディレクタ一はいない。

自分に家計を助ける能力がないと思うと、いたたまれない。それでも結婚生活を守り通すつもり。しかし、すべてがうまく行きそうにない。昼も夜も陰気な雰囲気が立ち込め、夫婦の会話はますます途切れがち。アランは次第に遠ざかっている。(何人かの友人たちにも同じことが………。同じように仕事をもつ女で、「幼妻」となり、10代で子供をもうけ、結婚後20年近く経って初めて、夫との間にほとんど共通点がないことを知る。)

アランの顔から苦しげな表情が消えた。演技教室の授業に備えてある若い女優とリハーサルをするようになってからだ。アランはよみがえったよう。以前はいつも髪を後ろへなでつけていたのに、最近では無造作に巻き毛を前に垂らしている。例の若い女優にそのほうがずっと素敵だと言われたのだ。ショックだった。裏切られた。自分の存在そのものまでが煙のように消えてしまうようだ。セックスしたかどうかはどうでも良い。アランが自分以外の誰かと恋に落ちる………誰か新しい相手と恋に落ちるとは………………。


Market Place

OUT OF PRINT  写真集のご案内

1.Avedon,Richard.リチャード・アヴェドン
PORTRAlTS. 1976  without SIGNED¥40,000
SIGNED by Avedon ¥60,000
 常に時代をリードしてきた写真家アヴェドン。被写体を鋭く切り取る彼のポートレイトは圧倒的な強さで見る者に鋭く迫る。後のポートレイトの在り方に多大な影響を及ぼした写真家。
2.Cuningham,Imogen. イモーゲン・カニングハム
¥80,000 IMOGEN ! IMOGEM CUNNINGHAM
  PHOTOGRAPHS 1910-1973.Seattle.91/150S
  Signed copies.1974.
 1910年から73年まで、63年に及ぶ彼女の業績を讃え編まれた写真集 150部限定で発行されたこの写真集は、ナンバーと彼女のサインが添えられている。初期の作品からポートレイト、植物まで、力ニングハムの世界を余すことなく堪能できる。彼女の作品のように静謐で凛とした気品溢れる一冊。巻頭にはMagery Mannによるintroductionが添えられている。
3. Lartigue,Jacque.ジャック・ラルティーグ
 ¥60,000 BOYHOOD PHOTOS 0F
 J.H.LARTIGUE.first edition‘1966 
 東急Bunkalmuraでの回顧展が記憶に新しいラルティーグ。1894年に富裕な銀行家の息子として生まれた彼は、家族や親しい友人、身のまわりの出来事をまるで日記を綴るように写真に収めた。そんな彼の作品を正に日記のように纏めた写真集。 20世紀初頭、ベルエポックに花開いた文化の香りに触れるのも楽しい。
4. Misrach,Richard.リチャード・ミズラック
  ¥45,000 TELEGRAPH 3 A.M
  Berkeley.Cornucopia Press.1974.#89/3000.SIGNED 
 1970年代前半のアメリカはバークレイ、テレグラフ・アヴェニュ一に集う若者を収めたドキュメント。60年代後半アメリカ全土を揺るがしたフラワームーブメントの中心地、その痕跡を残した通りには夢に破れた虚ろな目をした若者たちが暮らす。3000部限定。
   作者の自筆メッセージ入り。
  In the dark night of the soull.it is three o’klock in the morning.一F.Scott Fitzgerald
5.0unterbridge,Paul.ポール・アウターブリッジ
 ¥80,000 A SINGULAR AESTHETIC,
 Arabesque Books.1981.
 エディトリアル、グラフィック、両面において完壁な完成度を誇る作品集。写真集を愛する者なら、誰しも所有欲をくすぐられる一冊といっても過言ではなかろう。 1921年から41年における102点の作品と詳紬な解説。編集者の 意気込みが伝わってくる。
6. Penn,Irving. アーヴィング・ペン ¥90,000
 MOMENT PRESERVED.Simon and Schuster,1960.
 多くの優れた写真集を出しているペンだが、そのなかでも最も印象的な最早伝説と化した一冊。
 8つの項目にわけて編集された作品は、ペンの類稀なる若々しい才気に溢れている。見る者にページを繰ることの喜びを与えてくれ ることだろう。
7.Penn,Irving. アーヴィング・ペン ¥22,000
 WORLD IN A SMALL ROOM. Viking,cloth.1974.
 「澄み渡る北の空のもと、自然の光の中で、そこに暮らすまだ見ぬ人々を撮影したい」スタジオで人工的な光を使って撮影をしていたペンが、その願いを実行するため旅に出た。ネパール、ニュ−ギニア、モロッコ……写真に 添えられた撮影時のエピソードも大変興味深い, 表紙に刻まれた肩書はIrving Penn as an ambulant studio photographer ――移動するスタジオ写真家。
8. Sudek,Josef.ヨゼフ・スーデック ¥120,000
  JOSEF SUDEK FOTOGRAFIE,Praha.1956.
 パノラマ・シリーズを含め、スーデックの作品232点を網羅した写真集。1900年代前半のプラハ、田舎の風景、水をたたえたガラスコップに差す柔らかな光。スーデックが愛した各々の場面が遥か東欧の国への思いをかきたてる。

ご案内
 ここに掲載した写真集をご希望の方は、下記までご連絡ください。
 なお、ご紹介 した写真集は既に絶版のため、各1冊しか在庫がございません。売り切れの場合は、ご容赦いただきますようお願い申し上げます。掲載した写真集以外にも、写真集を多数、取り扱っています。
 お探しの写真集がありましたら、お気軽にご用命ください。
お問合せ先:富田 祐子
TEL&FAX 03-3442-8685


編集後記

 編集同人
  谷  博
  鳥原 学
  村上 慎二
  平井 正義
  高橋 明彦
  橋本有希子
  小林 美香
  佐藤 正夫
  野嵜 雄一

Renaissant 第18号です。戦後50年を期して、いくつかの企画写真展が開かれた1995年の夏でしたが、9月に入って東京都写真美術館で、50年前の原爆弾下とその後の日本をテーマとした写真展が静かに開かれていました。タイトルの「核・半減期」は、解説によると被爆によってまき散らされた放射能はいつか半減する時が来るが、原爆の記憶は半減させてはならない、という意味だそうです。想いは様々に語られます。廃虚は日々甦る、歳月と共に往時の人の息遣いが顕れる、と信じていたのですが、核兵器がもたらす廃虚は一瞬、完璧な姿、これにウットリするのはだいぶアブナいんですけれど。(tan)

Renaissant 原稿募集
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