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●遠近感歪み
 英語でそのまま「パースペクティブ・ディフォメーション」ということもあるけど、遠近感によって出る歪みのこと。近いモノはそれなりに大きく写り、遠いモノは小さく写るのが遠近感だけど、それによって、モノの形が歪んでしまうことだね。具体的には、建物を見上げた場合に、上のほうが小さく、下のほうが大きく写る、つまり上すぼまりになるけど、これが遠近感歪みだ。で、その結果として、真っ直ぐに建っているはずのビルの直線が斜めに傾いて写ってしまう。「垂直線歪み」ともいうけど、これが遠近感歪みのことなんだ。タテ位置の写真のほうが垂直線が長くなるから目立ちやすいけど、ヨコ位置の写真でもそれなりに遠近感歪みが出ているね。逆に、高いビルや空中からそれより低いビルを写すと、上のほうが大きく、下になるほど小さく写る、つまり下すぼまりになる。これも遠近感歪みによる垂直線の歪みだ。こういう遠近感歪みは写真のレンズの性質から避けられない。もし、垂直線歪みを避けたかったら、「アオリ」というカメラまたはレンズ側の操作によって、補正しなければならない。建築写真などではこの垂直線歪みが嫌われるため、カメラマンはかならずと言っていいぐらいアオリを使って撮影してる。なお、遠近感歪みは人物などにも当てはまり、子どもなどを上から写すと頭でっかちの写真になるし、下から写すと足が太くて長く、顔の小さい写真になるね。また、遠近感歪みと混同されやすいのが「歪曲(ディストーション)」で、これはレンズの欠点で直線が曲がったり、波打って写るもの。


写真1 タテ位置だと遠近感歪みがはっきりわかるね。ビルが上すぼまりになってる。20ミリレンズで撮影。


写真2 ヨコ位置だとややわかりにくいけど、やはり垂直線歪みが出てる。14ミリレンズで撮影。



●手持ち撮影
 カメラを手で持って撮影することで、三脚撮影の反対用語。写真はブレを防いだり、フレーミングをきっちり決めるためになるべく三脚を使いたいものだけど、三脚が使えなかったり、使わないほうがいい撮影もある。そこで、手持ち撮影ということになるんだけど、なるべくブレを防ぐ工夫をしよう。いちばんカンジンなのはカメラをしっかり構えることだけど、これは文字で説明してもなかなかわかりにくいから、個人個人できっちりした構えかたをマスターして欲しい。もうひとつは、ブレにくいシャッター速度を選ぶことだ。ブレにくいシャッター速度はふつう使ってるレンズの焦点距離分の1秒以上ということになってる。たとえば、100ミリレンズだと1/100秒(こういう速度はないから、1/125秒)、500ミリレンズなら1/500秒というわけだ。ただし、この法則は望遠レンズだけで、広角レンズだからと言って、非常に遅い速度にしていいわけじゃない。50ミリ以下のレンズでは少なくとも1/30秒以上で写すようにしよう。晴天の日中なら望遠レンズでも1/250秒とか1/500秒で写せるから問題はないけど、薄暗くなってくるとこういう早いシャッター速度では写せない。そこで、明るいレンズ(大口径レンズ)と高感度フィルムを使うと、そのぶんシャッター速度が早くなるから、手ブレの危険が減るわけだ。


写真3 300ミリの望遠レンズでスナップ撮影したものだけど、明るい日中なので高速シャッターが切れ、ブレはなかった。


写真4 夜間の手持ち撮影だけど、ISO400の高感度フィルムとF1.4という明るいレンズを使ったので、ブレずに手持ち撮影できた。