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Special

FUKE Kiyomi

八月の詩





 八月の詩

 都会の−
 入り組んだ路地裏で
 ぼくは熱っぽく
 ひからびていた。

 透明な空気が
 しつように
 外界を隔てている、
 八月の溶けたアスファルト。

 ところかまわず
 まき散らされる、
 むかつくような排気ガス。

 少年の夢と
 青年の感傷が、
 砂ぼこりに消えてゆく
 うす汚れた雑踏の街。

 操作された
 気流の渦の中で、
 ぼくは見失った人間の重みというやつ。
 <存在>の行方を探しあぐねていた。

   新宿にて  Aug.1959  秋山雄策


本作品は、2001年12月13日〜26日にフォトギャラリーAOYAMAで行われる写真展より先行して抜粋/発表します。(編集部)