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Noboru ISHIKAWA



シネマトグラフ




 シネマトグラフとは、18世紀にリュミエール兄弟が完成した、撮影・映写・焼き付け機兼用の装置のことです。当時、最も新製品の呼称であったが、後に一般的にプリミティブな映画の呼び名となりました。
 かつて、たれもがひろがりのある映像を作ろうとしていた時期がありました。ウォルト・ディズニーもその一人です。彼は360度画面の映像を作りだし観客に実体験出来るような映像を試みたりしたものでした。
 ひろがりのある映像を追うことが、私にパノラマ画像をもたらしました。コンパクトカメラのパノラマキットは、手軽であり、撮影の気分を害さなくていい。画面の仕上がりを見ると、ブローニー(中判のカメラ)を使用すべきであったのかもしれない。しかし私は、「はっ」と思ったときに、そのままの気持ちが撮れるほうを優先したのです。
 私は、写真をその場その場のひらめきで撮っています。「はっ」と思ったときにとりあえず撮る。偶然か、必然か、普段何気ない日常光景であったとしても「はっ」としたひらめきで、彼らに出会うことは楽しい。そこに存在する空気感を大切にしているのです。
 「はっ」とした瞬間、その場の空気をトリアエズ、コンパクトカメラで封じ込める。そして、横に広がる画面に私の最も大切にしている被写体と私の間にある空気の広がりを感じて頂ければ幸いです。