動き出した電車は、独立した時空間を運ぶひとつの箱だ。 そこから外の世界を眺めていると、 ちょっとした時間旅行をしている感じがする。 並んで走る他の電車、通過する駅のホームで待つ人々など、 いろいろな「現在」と絶え間なく交差しながら、 時間のへりをひた走る。
移動し続ける視点から撮影した数々の「現在」の記憶である。 あらかじめ積分されることのない微分的「現在」の記憶。