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Special

YOSHIE Masayoshi

植物の生殖器・花・メシベ・オシベ

 植物学者牧野富太郎博士の書かれた『植物知識』序言にある「花は率直に言えば植物の生殖器である」という言葉に啓発され、生殖器としての花を撮りたいと思いました。花は美麗でありますが、たんにきれい、きれいを写した写真ではない写真をです。
 性という言葉からうける不可思議で妖艶なイメージを感じさせることができないかと思い花の写真を撮り続けましたが、これに到達することはなかなかできませんでした。
 性の凄艶、妖艶を表現するためには花の核心であるメシベオシベに近づくことで可能になるのではと思い、種々の撮影方法を試みましたが、通常カメラのマクロレンズによる撮影では限界があって接近しきれません。顕微鏡写真は平面的で倍率が高すぎ、また焦点がわずかの部分にしか合いません。実体顕微鏡は眺めているぶんには鮮明に見えるのですが、力メラを取り付けて撮影してみると焦点が合いません。顕微鏡用の対物レンズを使い絞りを工夫して撮影を始めました。拡大の倍率から言うと、一般のマクロレンズによる撮影と顕微鏡写真の中問くらいの感じの写真が撮れるようになりました。
 この倍率による撮影で、いままで見ることのできなかった花の世界が拡がってきました。花の妖しさに驚かされます。花の凄艶にまではなかなか届きませんが、花の妖しさ、怪しい気配をわずかに表現することができたのではと思っています。
 ご覧になってのご感想、ご高評をいただければ幸いです。


本作品は、東京の富士フォトサロンにて2003年7月25〜31日に開催された作品展より抜粋しました。(編集部)