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10月10日 宝島

 7時起床、テント撤収、港へ向かう。
 天候は曇。風は相変わらず。雨でないのが何より。
 港へは早く着きすぎてしまって、一時間くらい時間を潰した。丁度満潮で、一昨日遊んだ干潟は海の中だった。
 定刻やや早目で、としま入港。
 早速船内で朝食。牛乳110円と2ケ入りアメリカンドック350円也。終いにゃ自販機のメニュー全部食べ尽くしてしまいそうだ。
 歯を磨き、ひと眠り。
 悪石島、小宝島をやり過ごし、11時半に早目の昼食。自販機の冷凍タイプカップ天ぷらそばだけど。
 12時過ぎに、宝島到着。土曜日と祭日が重なったせいか、人が多い。いやに物資の下ろしが多いなぁ(沢山のオバチャンたちが港で検品していた)、と思ったら、今日の14時から運動会なのだそうだ。納得。
 鹿児島からの、親子連れ釣人の姿も。
 とりあえず、テントや炊事道具等、重い荷物を船待合室(小宝島と全く同じ造り)に運び入れて身軽になる。誰も盗みゃしないだろう。
 宝島は、6平方キロで127人。ただ、どの島にも言えることだけど、工事関係者もいるので、実際にはもっと住んでいるように感じる。
 まずは、観光の目玉(!?)、大鐘乳洞へ向かう。探検してやろうと、ヘッドランプ持参だったのだが、足場がなくて入り口で撤退。
 島内一周道路をあちこち道草しながら回る。晴れてて気持ちがいい。アップダウンもそれ程でもなくて、快適快適。
 途中、としまの来ない港の防波堤で釣りをしている人がいて、しばし見物する。コブシメ(イカの一種)釣りが始まったのだそうだ。旨いらしい。
 防波堤に座り、おやつに菓子を食べた。
 島の最高峰、イマキラ岳(292m)展望台へ行こうかと思っていたけど、キャンプ場の情報が得られたので、そちらへ行くことにする。
 大籠海水浴場の一帯がキャンプ可で、建物もあり、シャワーは使えなかったけど、男子トイレだけは空いていた。水もある。そして何より、小さいながらも細かい砂の浜が美しい。周りを岩で囲まれ、プライベートビーチのようだ。
 建物の屋根の下にテントが張れそうなので、キャンプ地をここに決める。
 郵便局の奥さんが管理担当らしい、というので集落へ戻って行ってみると、特に名前を書く、ということもなく、料金も請求されなかった。
 食料品店は、かなり立派なのがある。残念ながら午後は18時からということなので、出直すことにして、港の船待合へ向かう。
 荷物をピックアップし、キャンプ場へ。
 洗濯物を干し易そうだったので、早速ロープを張ってお洗濯。今着ていた物も洗ってしまって、海パンで海へ。
 う゛う゛、水中眼鏡がないことが悔やまれる。
 風があるので、海から上がると寒い。
 トイレの洗面所にホースがあったので、それを利用してシャンプー&身体を洗う。おお、久々で気持ちいいぞ。
 その後、イマキラ岳は、ま、いっか、と、パンツ一枚のままテントを設営、日光を浴び、風に吹かれながら原稿を書く。
 ビールがありゃあなぁ。
 雲は多目だけど、何とか夕焼けでした。
 米を研いだ後、集落へ買い出しに行く。1kmくらいの距離だ。
 お店は、今までのうちで最も品ぞろえが豊富だった。ゴム系接着剤もあった。これでようやくパンク修理が出来る。
 戻る途中、エコーのかかった笑い声を聞いた。
 むむむ、あの窓からか、と、坂を登って回り込むと、温泉浴場があるではないかっ。
 着替えはないし、タオルもないし、だったけど、これは入るっきゃない。
 タオルは、自転車に付けてあった雑巾を使うことにした。まぁ、自分の身体を拭くだけだから、よく洗えば問題ないでしょ。
 島外者は200円を箱に入れる。
 湯はぬるく、長湯にぴったり。色は小宝温泉センターに近い茶色だった。
 湯上がると、すっかり闇だった。自転車に照明を付けていなかったら、道すら判らないところだった。実際、一回道を間違えて岸壁に激突しそうになった。
 街灯も月もない闇の楽しさ。
 テントサイトへ戻り、夕食。
 豪華である。350ml缶ビール2本、ゴマラーメン(生卵入り)、500ccヨーグルト、トマト1個、ご飯。ここまでで腹一杯。他にもみかんや桃の缶詰などがあったのだが。
 食事は、星を眺めながらだった。
 降るような星空。天の川がイマキラ岳から立ち昇り、天空を横切って海に落ちる。落ちた所には、かすかに小宝島の明かりが見えた。
 完璧である。
 見えるのは、星と、遠くに灯台の明り、小宝島の明り。街灯は一切見えない。星は見えすぎて、星座が良く判らないくらいだ。北海道十勝平野の星空を思い出した。
 聞こえるのは、波の音、虫の声。
 ビーチまで歩いて行って振り返ると、テントサイトがキャンドルランタンの明りで浮き上がって見えた。
 完璧過ぎる。
 強いて言えば、傍らに美しい女性がいないことか。いないことにより、より完璧なのかも知れないが。
 随分星を眺めていたつもりでも、テントに入ったのは21時半頃だった。
 明日こそ早起きしよう。

鐘乳洞は敗退。キャプテンキッドの財宝が隠されているらしい(スティーブンソンは、この島をモデルに「宝島」を書いたとも言われている。ホンマかいな)