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まとめ

それは、幻の島ではない

 そもそも、幻の島とはなんなのか?
 乗客の大半が地元民という船に一時間以上揺られ、上陸した島は、黒々とした珊瑚礁の残骸とも見える島だった。
 面積はサッカーグラウンド3面くらいはあっただろうか。
 ナマコがいた。ウニがいた。シャコがいた。シャコ貝が、魚が、カニが、ヒトデが、イソギンチャクが、いた。
 そして、普段はいるはずのないヒトがいた。
 3日間で、1,500人が上陸するという。
 我々は初日だったせいか、多くの動物達を見ることができた。
 しかし、2日目、3日目の人はどうだろう。3日間通う地元民も多いだろう。
 珊瑚を叩き割ってシャコ貝やウニを採種しているのを見ると、ちょと悩む。すでに死んでいる珊瑚ではあるのだけれど、採種されたシャコ貝がどれも同じ大きさ(拳大)なのを見ると、この地に生まれたばかりに、あれ以上に成長できない哀れを想う。旨いんだけどね。

でも飛ぶ飛行機

 日本トランスオーシャン航空のストにあって、空の便が乱れた。当初予定していた便は欠航し、臨時便に乗ることになった。
 機内で陽気な乗客のひとりが、
「今日の飛行機は管理職が飛ばしているのか?」
 と、スッチーに聞くと、
「そうです」
 と答えた。ちょっと緊張した。
 そのスッチーは、ストを起こした組合とは別の組合員だそうで、会社は複雑である。
 話はとぶが、宮古島から羽田空港への飛行機が、羽田着陸の際に大きく姿勢を崩しつつ着陸した。あんなに振られたのは初めてだった。
 機内アナウンスが、4月から運用を開始した新しい滑走路へ降りたことを伝えた。
 乗客が、
「降りるのに慣れていなかったから揺れたんだろう」
 と言っていた。そんなアホな、とも思ったが、もしかしたら、そういうものかも知れない。

行政は島に何をもたらすか

 IPMJスタッフは、これで、西表、与那国、波照間、小笠原、石垣、宮古を訪れたことになる。
 どこに続くやも知れぬ道。突然行き止まりになる道。突然現れて突然消える歩道。なぜか掛け替えられる橋。百人足らずの住民の島へ続く百億円の橋。
 空港さえ大きくなれば沢山の観光客が来ると信じて疑わない役場の観光局。
 島は、楽しい。
 おそらく、その楽しさは旅人特有のものだろう。
 それも、いい。